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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(266)

千日尼御前御返事(雷門鼓御書)

 弘安元年(ʼ78)閏10月19日 57歳 千日尼

 青鳧一貫文・干し飯一斗、種々の物給び候い了わんぬ。
 仏に土の餅を供養せし徳勝童子は阿育大王と生まれたり。仏に漿をまいらせし老女は辟支仏と生まれたり。
 法華経は十方三世の諸仏の御師なり。十方の仏と申すは、東方の善徳仏・東南方の無憂徳仏・南方の栴檀徳仏・西南方の宝施仏・西方の無量明仏・西北方の華徳仏・北方の相徳仏・東北方の三乗行仏・上方の広衆徳仏・下方の明徳仏なり。三世の仏と申すは、過去荘厳劫の千仏、現在賢劫の千仏、未来星宿劫の千仏、乃至華厳経・法華経・涅槃経等の大小・権実・顕密の諸経に列なり給える一切の諸仏、尽十方世界の微塵数の菩薩等も、皆ことごとく法華経の妙の一字より出生し給えり。
 故に、法華経の結経たる普賢経に云わく「仏の三種の身は、方等より生ず」等云々。「方等」とは月氏の語、漢土には大乗と翻ず。大乗と申すは法華経の名なり。阿含経は外道の経に対すれば大乗経、華厳・般若・大日経等は、阿含経に対すれば大乗経、法華経に対すれば小乗経なり。法華経に勝れたる経なき故に一り大乗経なり。