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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

七分に破れん』等と誓わせ給いて候えば、いかんが候べき」と、日蓮強盛にせめまいらせ候ゆえに、天この国を罰す。ゆえにこの疫病出現せり。
 他国よりこの国を天おおせつけて責めらるべきに、両方の人あまた死ぬべきに、天の御計らいとして、まず民を滅ぼして人の手足を切るがごとくして、大事の合戦なくして、この国の王臣等をせめかたぶけて、法華経の御敵を滅ぼして正法を弘通せんとなり。
 しかるに、日蓮、佐渡国へながされたりしかば、彼の国の守護等は国主の御計らいに随って日蓮をあだむ。万民はその命に随う。念仏者・禅・律・真言師等は、鎌倉よりも「いかにもして、これへわたらぬよう計れ」と申しつかわし、極楽寺の良観等は、武蔵前司殿の私の御教書を申して、弟子に持たせて日蓮をあだみなんどせしかば、いかにも命たすかるべきようはなかりしに、天の御計らいはさておきぬ、地頭・地頭等、念仏者・念仏者等、日蓮が菴室に昼夜に立ちそいて、かよう人もあるをまどわさんとせめしに、阿仏房にひつをしおわせ、夜中に度々御わたりありしこと、いつの世にかわすらん。ただ悲母の佐渡国に生まれかわりてあるか。
 漢土に沛公と申せし人、王の相有りとて、秦の始皇の勅宣を下して云わく「沛公打ってまいらせん者には、不次の賞を行うべし」。沛公は里中には隠れがたくして、山に入って七日・二七日なんど有りしなり。その時、命すでにおわりぬべかりしに、沛公の妻女・呂后と申せし人こそ山中を尋ねて時々命をたすけしか。彼は妻なればなさけすてがたし。
 これは後世をおぼせずば、なにしにか、かくはおわすべき。またその故に、あるいは所をおい、あ