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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(265)

千日尼御前御返事(真実報恩経の事)

 弘安元年(ʼ78)7月28日 57歳 千日尼

 弘安元年太歳戊寅七月六日、佐渡国より千日尼と申す人、同じく日本国甲州波木井郷身延山と申す深山へ、同じく夫・阿仏房を使いとして送り給う御文に云わく「女人の罪障はいかがと存じ候えども、御法門に法華経は女人の成仏をさきとするぞと候いしを、万事はたのみまいらせ候いて」等云々。
 夫れ、法華経と申し候御経は、誰仏の説き給いて候ぞとおもい候えば、この日本国より西、漢土よりまた西、流沙・葱嶺と申すよりはまたはるか西、月氏と申す国に浄飯王と申しける大王の太子、十九の年、位をすべらせ給いて、檀どく山と申す山に入り御出家、三十にして仏とならせ給う。身は金色と変じ、神は三世をかがみさせ給い、すぎにしこと、来るべきこと、かがみにかけさせ給いておわせし仏の、五十余年が間、一代一切の経々を説きおかせ給う。
 この一切の経々、仏の滅後一千年が間、月氏国にようやくひろまり候いしかども、いまだ漢土・日本国等へは来り候わず。
 仏滅度して後一千十五年と申せしに、漢土へ仏法渡りはじめて候いしかども、またいまだ法華経はわたり給わず。