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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 仏法、漢土にわたりて二百余年に及んで、月氏と漢土との中間に亀玆国と申す国あり。彼の国の内に鳩摩羅えん三蔵と申せし人の御子・鳩摩羅什と申せし人、彼の国より月氏に入り、須利耶蘇磨三蔵と申せし人にこの法華経をさずかり給いき。その授け給いし時の御語に云わく「この法華経は東北の国に縁ふかし」と云々。この御語を持って月氏より東方、漢土へはわたし給い候なり。
 漢土には、仏法わたりて二百余年、後秦王の御宇に渡って候いき。
 日本国には、人王第三十代欽明天皇の御宇治十三年壬申十月十三日辛酉日、これより西、百済国と申す国より、聖明皇、日本国に仏法をわたす。これは、漢土に仏法わたって四百年、仏の滅後一千四百余年なり。その中にも法華経はましまししかども、人王第三十二代用明天皇の太子・聖徳太子と申せし人、漢土へ使いをつかわして、法華経をとりよせまいらせて日本国に弘通し給いき。それより来、七百余年なり。
 仏滅度して後はすでに二千二百三十余年になり候上、月氏・漢土・日本、山々・河々・海々遠くへだたり、人々・心々・国々、各々別たりて、語かわり、しなことなれば、いかでか仏法の御心をば我ら凡夫は弁え候べき。ただ経々の文字を引き合わせてこそ知るべきに、一切経はようように候えども、法華経と申す御経は八巻まします。流通に普賢経、序分に無量義経、各一巻已上。この御経を開き見まいらせ候えば、明らかなる鏡をもって我が面を見るがごとし。日出でて草木の色を弁うるににたり。
 序分の無量義経を見まいらせ候えば、「四十余年にはいまだ真実を顕さず」と申す経文あり。法華