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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

経の第一の巻の方便品の始めに「世尊は法久しくして後、要ず当に真実を説きたもうべし」と申す経文あり。第四の巻の宝塔品には「妙法華経は、皆これ真実なり」と申す明文あり。第七の巻には「舌相は梵天に至る」と申す経文赫々たり。その外は、この経より外の、さきのちならべる経々をば、星に譬え、江河に譬え、小王に譬え、小山に譬えたり。法華経をば、月に譬え、日に譬え、大海・大山・大王等に譬え給えり。
 この語は私の言にはあらず、皆、如来の金言なり。十方の諸仏の御評定の御言なり。
 一切の菩薩・二乗・梵天・帝釈、今の天に懸かって明鏡のごとくまします日月も、見給いき、聞き給いき。その日月の御語もこの経にのせられて候。月氏・漢土・日本国のふるき神たちも皆、その座につらなりし神々なり。天照太神・八幡大菩薩・熊野・すずか等の日本国の神々もあらそい給うべからず。
 この経文は一切経に勝れたり。地走る者の王たり、師子王のごとし。空飛ぶ者の王たり、鷲のごとし。南無阿弥陀仏経等は、きじのごとし、兎のごとし。鷲につかまれては涙をながし、師子にせめられては腹わたをたつ。
 念仏者・律僧・禅僧・真言師等、またかくのごとし。法華経の行者に値いぬれば、いろを失い、魂をけすなり。
 かかるいみじき法華経と申す御経はいかなる法門ぞと申せば、一の巻の方便品よりうちはじめて、菩薩・二乗・凡夫、皆仏になり給うようをとかれて候えども、いまだそのしるしなし。