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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(218)

四条金吾殿御返事(源遠流長の事)

 弘安2年(ʼ79)9月15日 58歳 四条金吾

 銭一貫文給びて、頼基がまいらせ候とて、法華経の御宝前に申し上げて候。定めて、遠くは教主釈尊ならびに多宝・十方の諸仏、近くは日月の宮殿にわたらせ給うも、御照覧候いぬらん。
 さては、人のよにすぐれんとするをば、賢人・聖人とおぼしき人々も皆、そねみ、ねたむことに候。いおうや常の人をや。
 漢皇の王昭君をば三千のきさきこれをそねみ、帝釈の九十九億那由他のきさきは憍尸迦をねたむ。前中書王をば、おのの宮の大臣これをねたむ。北野の天神をば、時平のおとどこれをざんそうして流し奉る。
 これらをもっておぼしめせ。入道殿の御内は広かりし内なれども、せばくならせ給い、きゅうだちは多くわたらせ給う。内のとしごろの人々あまたわたらせ給えば、池の水すくなくなれば魚さわがしく、秋風立てば鳥こずえをあらそうように候ことに候えば、いくそばくぞ御内の人々そねみ候らんに、度々の仰せをかえし、よりよりの御心にたがわせ給えば、いくそばくのざんげんこそ候らんに、度々の御所領をかえして、今また所領給わらせ給うと云々。これ程の不思議は候わず。これひと