1606ページ
はなり候いけるぞ。あなかしこ、あなかしこ。いよいよ道心堅固にして、今度仏になり給え。
御一門の御房たち、また俗人等にも、かかるうれしきこと候わず。こう申せば、今生のよくとおぼすか。それも凡夫にて候えば、さも候べき上、欲をもはなれずして仏になり候いける道の候いけるぞ。普賢経に法華経の肝心を説いて候。「煩悩を断ぜず、五欲を離れず」等云々。天台大師の摩訶止観に云わく「煩悩即菩提・生死即涅槃」等云々。
竜樹菩薩の大論に法華経の一代にすぐれていみじきようを釈して云わく「譬えば、大薬師の能く毒を変じて薬となすがごとし」等云々。「小薬師は薬をもって病を治す。大医は大毒をもって大重病を治す」等云々。
弘安元年戊寅十月 日 日蓮 花押
四条金吾殿御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(214)四条金吾殿御返事(所領加増の事) | 弘安元年(’78)10月 | 57歳 | 四条金吾 |