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火にたきぎを加うる時はさかんなり。大風吹けば求羅は倍増するなり。松は万年のよわいを持つ故に枝をまげらる。法華経の行者は火と求羅とのごとし。薪と風とは大難のごとし。法華経の行者は久遠長寿の如来なり。修行の枝をきられ、まげられんこと、疑いなかるべし。これより後は、「此経難持」の四字を暫時もわすれず案じ給うべし。恐々謹言。
文永十二年乙亥三月六日 日蓮 花押
四条金吾殿
(200)
王舎城事
文永12年(ʼ75)4月12日 54歳 四条金吾
銭一貫五百文、給び候い畢わんぬ。
焼亡のこと委しく承り候こと、悦び入って候。大火のことは、仁王経の七難の中の第三の火難、法華経の七難の中には第一の火難なり。
夫れ、虚空をば剣にてきることなし。水をば火焼くことなし。聖人・賢人・福人・智者をば火やくことなし。例せば、月氏に王舎城と申す大城は、在家九億万家なり。七度まで大火おこりてやけほろ
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(199)四条金吾殿御返事(此経難持の事) | 文永12年(’75)3月6日 | 54歳 | 四条金吾 |
(200)王舎城事 | 文永12年(’75)4月12日 | 54歳 | 四条金吾 |