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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(199)

四条金吾殿御返事(此経難持の事)

 文永12年(ʼ75)3月6日 54歳 四条金吾

 「此経難持(この経は持ち難し)」のこと。
 そもそも弁阿闍梨が申し候は、貴辺のかたらせ給う様に、「持つらん者は、『現世安穏、後生善処』と承って、すでに去年より今日まで、かたのごとく信心をいたし申し候ところに、さにてはなくして、大難雨のごとく来り候」と云々。まことにてや候らん、また弁公がいつわりにて候やらん。いかさま、よきついでに不審をはらし奉らん。
 法華経の文に「難信難解」と説き給うはこれなり。この経をききうくる人は多し。まことに聞き受くるごとくに大難来れども憶持不忘の人は希なるなり。
 受くるはやすく、持つはかたし。さるあいだ、成仏は持つにあり。この経を持たん人は難に値うべしと心得て持つなり。「則ちこれ疾く無上の仏道を得ん」は疑いなし。
 三世の諸仏の大事たる南無妙法蓮華経を念ずるを持つとは云うなり。経に云わく「仏の嘱するところを護持せん」といえり。天台大師云わく「信力の故に受け、念力の故に持つ」云々。また云わく「この経は持ち難し。もししばらくも持たば、我は即ち歓喜す。諸仏もまたしかなり」云々。