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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

ろずは心にすいしはからせ給え。女房の御事、同じくよろこぶと申させ給え。恐々謹言。

(181)

孝子御書

 弘安2年(ʼ79)2月28日 58歳 池上宗長

 御親父御逝去の由、風聞真にてや候らん。貴辺と大夫志の御事は、代末法に入って生を辺土にうけ法華の大法を御信用候えば、悪鬼定めて国主と父母等の御身に入りかわり怨をなさんこと、疑いなかるべきところに、案にたがうことなく、親父より度々の御かんどうをこうぼらせ給いしかども、兄弟ともに浄蔵・浄眼の後身か、はたまた薬王・薬上の御計らいかのゆえに、ついに事ゆえなく親父の御かんきをゆりさせ給いて、前に立てまいらせし御孝養、心にまかせさせ給いぬるは、あに孝子にあらずや。定めて天よりも悦びをあたえ、法華経・十羅刹も御納受あるべし。
 その上、貴辺の御事は心の内に感じおもうこと候。この法門、経のごとくひろまり候わば、御悦び申し候べし。あなかしこ、あなかしこ。兄弟の御中、不和にわたらせ給うべからず、不和にわたらせ給うべからず。大夫志殿の御文にくわしくかきて候。きこしめすべし。恐々謹言。
  弘安二年二月二十八日    日蓮 花押