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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(182)

両人御中御書

 弘安2年(ʼ79)10月20日 58歳 日朗・池上宗仲

 大国阿闍梨・えもんのたゆうの志殿等に申す。故大進阿闍梨の坊は各々の御計らいにあるべきかと存じ候に、今に人も住せずなんど候なるは、いかなることぞ。
 ゆずり状のなくばこそ、人々も計らい候わめ。くわしくうけたまわり候えば、べんの阿闍梨にゆずられて候よし、うけたまわり候いき。またいぎあるべしともおぼえず候。それに御用いなきは、別の子細の候か。その子細なくば、大国阿闍梨・大夫殿の御計らいとして、弁阿闍梨の坊へこぼちわたさせ給い候え。
 心けんなる人に候えば、いかんがとこそおもい候らめ。弁阿闍梨の坊をすりしてひろくもらずば、諸人の御ために御たからにてこそ候わんずらんめ。ふゆはしょうもうしげし。もしやけなば、そんと申し、人もわらいなん。このふみついて両三日が内に事切って、各々の御返事給び候わん。恐々謹言。
  十月二十日    日蓮 花押
 両人御中
  ゆずり状をたがうべからず。