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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 そもそも、日本国と申すは十の名あり。扶桑・野馬台・水穂・秋津洲等なり。別しては六十六箇国・島二つ。長さ三千余里。広さは不定なり、あるいは百里、あるいは五百里等。五畿七道、郡は五百八十六、郷は三千七百二十九、田の代は上田一万一千一百二十町、乃至八十八万五千五百六十七町。人数は四十九億八万九千六百五十八人なり。神社は三千一百三十二社、寺は一万一千三十七所、男は十九億九万四千八百二十八人、女は二十九億九万四千八百三十人なり。その男の中に、ただ日蓮、第一の者なり。何事の第一とならば、男女に悪まれたる第一の者なり。
 その故は、日本国に国多く人多しといえども、その心一同に南無阿弥陀仏を口ずさみとす。阿弥陀仏を本尊とし、九方を嫌って西方を願う。たとい法華経を行ずる人も、真言を行う人も、戒を持つ者も、智者も、愚人も、余行を傍として念仏を正とし、罪を消さん謀は名号なり。故に、あるいは六万・八万・四十八万返、あるいは十返・百返・千返なり。
 しかるを、日蓮一人「阿弥陀仏は無間の業、禅宗は天魔の所為、真言は亡国の悪法、律宗・持斎等は国賊なり」と申す故に、上一人より下万民に至るまで、父母の敵、宿世の敵、謀叛・夜討ち・強盗よりも、あるいは畏れ、あるいは瞋り、あるいは詈り、あるいは打つ。これを訾る者には所領を与え、これを讃むる者をばその内を出だし、あるいは過料を引かせ、殺害したる者をば褒美なんどせらるる上、両度まで御勘気を蒙れり。
 当世第一の不思議の者たるのみならず、人王九十代、仏法渡っては七百余年なれども、かかる不思議の者なし。