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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 その故は、ほぼこれを見るに、蒙古の牒状已前に、去ぬる正嘉・文永等の大地震・大彗星の告げによって再三これを奏すといえども、国主あえて信用無し。しかれども、日蓮が勘文ほぼ仏意に叶うかの故に、この合戦既に興盛なり。この国の人々、今生には一同に修羅道に堕ち、後生には皆阿鼻大城に入らんこと疑いなきものなり。
 ここに、貴辺と日蓮とは師檀の一分なり。しかりといえども、有漏の依身は国主に随うが故に、この難に値わんと欲するか。感涙押さえ難し。いずれの代にか対面を遂げんや。ただ一心に霊山浄土を期せらるべきか。
 たとい身はこの難に値うとも、心は仏心に同じ。今生は修羅道に交わるとも、後生は必ず仏国に居せん。恐々謹言。
  弘安四年閏七月一日    日蓮 花押
 曽谷二郎入道殿御返事