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して九百万億歳、伏臥して九百万億歳、左脇に臥して九百万億歳、右脇に臥して九百万億歳、かくのごとく熱鉄の上に在って三千六百万億歳なり。しかして後、この阿鼻より転じて他方に生まれて、大地獄に在って無数百千万億那由他歳、大苦悩を受けん。
彼は小乗経をもって権大乗を破せしも、罪を受くること、かくのごとし。いわんや、今の三大師は「いまだ真実を顕さず」の経をもって三世の仏陀の本懐の説を破するのみにあらず、あまつさえ一切衆生成仏の道を失う。深重の罪は、過・現・未来の諸仏も、いかでかこれを窮むべけんや、いかでかこれを救うべけんや。
法華経の第四に云わく「已に説き、今説き、当に説くべし。しかもその中において、この法華経は最もこれ難信難解なり」。また云わく「最もその上に在り」。ならびに薬王の十喩等云々。他経においては華厳・方等・般若・深密・大雲・密厳・金光明経等の諸教の中に、経々の勝劣これを説くといえども、あるいは小乗経に対してこの経を第一と曰い、あるいは真俗二諦に対して中道を第一と曰い、あるいは印・真言等を説くをもって第一となす。これらの説有りといえども、全く已今当の第一にあらざるなり。しかれども、末の論師・人師等、謬執年積もり、門徒また繁多なり。
ここに、日蓮、彼の依経に無きの由を責むるあいだ、いよいよ瞋恚を懐いて、是非を糾明せず、ただ大妄語を構えて国主・国人等を誑惑し、日蓮を損ぜんと欲す。衆千の難を蒙らしむるのみにあらず、両度の流罪、あまつさえ頸の座に及ぶ、これなり。これらの大難、忍び難きこと不軽の杖木にも過ぎ、はたまた勧持の刀杖にも越えたり。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(168)曽谷二郎入道殿御返事 | 弘安4年(’81)閏7月1日 | 60歳 | 曽谷教信 |