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ん」等云々。いかんぞ、数年が間罵るとも怨むとも、その義なきや。
答う。反詰して云わく、不軽菩薩を毀訾し、罵詈し、打擲せし人は、口閉・頭破ありけるか、いかん。
問う。しかれば、経文に相違すること、いかん。
答う。法華経を怨む人に二人あり。一人は先生に善根ありて、今生に縁を求めて菩提心を発して仏になるべき者は、あるいは口閉じ、あるいは頭破る。一人は先生に謗人なり。今生にも謗じ、生々に無間地獄の業を成就せる者あり。これは、のれども口は則ち閉塞せず。譬えば、獄に入って死罪に定まる者は、獄の中にていかなる僻事あれども、死罪を行うまでにて別の失なし。ゆりぬべき者は、獄中にて僻事あればこれをいましむるがごとし。
問うて云わく、このこと第一の大事なり。委細に承るべし。
答えて云わく、涅槃経に云わく、法華経に云わく、云々。
日蓮 花押
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(164)法蓮抄 | 建治元年(’75)4月 | 54歳 | 曽谷教信 |