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この提婆達多ほどの大悪人、三業相応して一中劫が間釈迦仏を罵詈・打擲し嫉妬し候わん大罪は、いくらほどか重く候べきや。この大地は、厚さは十六万八千由旬なり。されば、四大海の水をも九山の土石をも三千の草木をも一切衆生をも頂戴して候えども、落ちもせず、かたぶかず、破れずして候ぞかし。しかれども、提婆達多が身は既に五尺の人身なり。わずかに三逆罪に及びしかば、大地破れて地獄に入りぬ。この穴、天竺にいまだ候。玄奘三蔵、漢土より月支に修行してこれをみる。西域と申す文に載せられたり。
しかるに、法華経の末代の行者を、心にもおもわず、色にもそねまず、ただたわぶれてのりて候が、上の提婆達多がごとく三業相応して一中劫仏を罵詈し奉るにすぎて候ととかれて候。いかにいわんや、当世の人の、提婆達多がごとく三業相応しての大悪心をもって、多年が間、法華経の行者を罵詈・毀辱・嫉妬・打擲・讒死・歿死に当てんをや。
問うて云わく、末代の法華経の行者を怨める者は、いかなる地獄に堕つるや。
答えて云わく、法華経の第二に云わく「経を読誦し書持することあらん者を見て、軽賤憎嫉して、結恨を懐かん乃至その人は命終して、阿鼻獄に入らん。一劫を具足して、劫尽きなば、また死し、展転して無数劫に至らん」等云々。
この大地の下五百由旬を過ぎて炎魔王宮あり。その炎魔王宮より下一千五百由旬が間に、八大地獄ならびに一百三十六の地獄あり。その中に、一百二十八の地獄は軽罪の者の住処、八大地獄は重罪の者の住処なり。八大地獄の中に、七大地獄は十悪の者の住処なり。第八の無間地獄は五逆と不孝と誹
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(164)法蓮抄 | 建治元年(’75)4月 | 54歳 | 曽谷教信 |