『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

びに五十七の二代は、明雲大僧正、座主なり。この座主は、安元三年五月　日、院勘を蒙って伊豆国へ配流。山僧、大津にて奪い取って後、治承三年十一月に座主となりて、源右将軍頼朝を調伏せしほどに、寿永二年十一月十九日、義仲に打たれさせ給う。この人、生けると死ぬと、二度大難に値えり。生の難は仏法の定例、聖賢の御繁盛の花なり。死の後の恥辱は、悪人・愚人・誹謗正法の人の招くわざわいなり。いわゆる大慢ばら門・須利等なり。ほぼこれを勘えたるに、明雲より一向に真言の座主となりて後、今三十余代・一百余年が間、一向真言の座主にて、法華経の所領を奪えるなり。
　しかれば、これらの人々は釈迦・多宝・十方の諸仏の大怨敵、梵釈・日月・四天・天照太神・正八幡大菩薩の御讐敵なりと見えて候ぞ。我が弟子等、この旨を存して法門を案じ給うべし。恐々謹言。
　　正月二十七日　　　　日蓮　花押
　大田入道殿御返事