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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

らんと欲す。著、止めて云わく「汝、その舌をもって大乗を讃歎せよ」。親、たちまちに五百部の大乗論を造って小乗を破失す。また一つの願を制立せり。「我、一生の間、小乗を舌の上に置かじ」。しかして後、罪滅して弥勒の天に生ず。
 馬鳴菩薩は東印度の人、付法蔵の第十三に列なれり。本外道の長たりし時、勒比丘と内外の邪正を論ずるに、その心言下に解けて、重科を遮せんがために、自らの頭を刎ねんと擬す。謂うところは「我、我に敵して堕獄せしめん」。勒比丘、諫め止めて云わく「汝、頭を切ることなかれ。その頭と口とをもって大乗を讃歎せよ」。鳴、急やかに起信論を造って外小を破失せり。月氏の大乗の初めなり。
 嘉祥寺の吉蔵大師は漢土第一の名匠、三論宗の元祖なり。呉会に独歩し、慢幢最も高し。天台大師に対して已今当の文を諍い、たちどころに邪執を翻破し、謗人・謗法の重罪を滅せんがために、百余人の高徳を相語らい、智者大師を屈請して、身を肉橋となし、頭に両足を承く。七年の間、薪を採り水を汲み、講を廃し衆を散じ、慢幢を倒さんがために、法華経を誦せず。大師の滅後、隋帝に往詣するに、双足を挍摂し、涙を流して別れを告げ、古鏡を観見して自影を慎辱す。
 業病を滅せんと欲して上のごとく懺悔す。
 夫れ以んみれば、一乗の妙経は三聖の金言なり、已今当の明珠は諸経の頂に居す。
 経に云わく「諸経の中において最もその上に在り」。また云わく「法華は最も第一なり」。伝教大師云わく「仏立宗」云々。
 予、随分、大・金・地等の諸の真言の経を勘えたるに、あえてこの文の会通の明文無し。ただ、