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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

にして韋提希と字づくるものは、種々の薬をもってためにこれを傅く。その瘡、ついに増して降損有ることなし。王即ち母に白す。『かくのごとき瘡は心に従って生ず。四大より起こるにはあらず。もし衆生に能く治する者有りと言わば、この処有ることなけん』と」云々。「その時、世尊・大悲導師、阿闍世王のために月愛三昧に入り、三昧に入り已わって、大光明を放ちたもう。その光、清涼にして、往って王の身を照らすに、身の瘡即ち愈えぬ」云々。平等大慧の妙法蓮華経の第七に云わく「この経は則ちこれ閻浮提の人の病の良薬なり。もし人病有らんに、この経を聞くことを得ば、病は即ち消滅して、不老不死ならん」云々。
 已上、上の諸文を引いて、ここに御病を勘うるに、六病を出でず。その中の五病はしばらくこれを置く。第六の業病、最も治し難し。はたまた、業病に軽き有り重き有って、多少定まらず。なかんずく、法華誹謗の業病、最第一なり。神農・黄帝・華佗・扁鵲も手を拱き、持水・流水・耆婆・維摩も口を閉ず。ただ釈尊一仏の妙経の良薬に限ってこれを治す。
 法華経に云わく、上のごとし。大涅槃経に法華経を指して云わく「もし、この正法を毀謗するも、能く自ら改悔し、正法に還帰することあらば乃至この正法を除いてさらに救護することなし。この故に応当に正法に還帰すべし」云々。荊渓大師云わく「大経自ら法華を指して極となす」云々。また云わく「人の地に倒れて、還って地より起くるがごとし。故に正の謗をもって邪の堕を接す」云々。
 世親菩薩は本小乗の論師なり。五竺の大乗を止めんがために、五百部の小乗論を造る。後に無著菩薩に値い奉って、たちまちに邪見を翻し、一時にこの罪を滅せんがために、著に向かって、舌を切