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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(145)

諸経と法華経と難易の事

 弘安3年(ʼ80)5月26日 59歳 富木常忍

 問うて云わく、法華経の第四の法師品に云わく「難信難解」云々。いかなることぞや。
 答えて云わく、この経は、仏説き給いて後、二千余年にまかりなり候。月氏に一千二百余年、漢土に二百余年を経て後、日本国に渡ってすでに七百余年なり。仏の滅後にこの法華経のこの句を読みたる人、ただ三人なり。いわゆる、月氏には竜樹菩薩、大論に云わく「譬えば、大薬師の能く毒をもって薬となすがごとし」等云々。これは、竜樹菩薩の「難信難解」の四字を読み給いしなり。漢土には天台智者大師と申せし人、読んで云わく「已今当の説に最もこれ難信難解なり」云々。日本国には伝教大師、読んで云わく「已説の四時の経、今説の無量義経、当説の涅槃経は易信易解なり。随他意の故に。この法華経は最もこれ難信難解なり。随自意の故に」等云々。
 問うて云わく、その意いかん。
 答えて云わく、易信易解は随他意の故に、難信難解は随自意の故なり云々。
 弘法大師ならびに日本国東寺の門人おもわく「法華経は顕教の内の難信難解にて、密教に相対せば易信易解なり」云々。慈覚・智証ならびに門家思うよう「法華経と大日経はともに難信難解なり。た