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始聞仏乗義
建治4年(ʼ78)2月28日 57歳 富木常忍
青鳧七結、下州より甲州に送らる。その御志、悲母の第三年に相当たる御孝養なり。
問う。「止観の明静なることは、前代にいまだ聞かず」の心いかん。
答う。円頓止観なり。
問う。円頓止観の意いかん。
答う。法華三昧の異名なり。
問う。法華三昧の心いかん。
答う。夫れ、末代の凡夫、法華経を修行する意に二つ有り。一には就類種の開会、二には相対種の開会なり。
問う。この名は、いずれより出ずるや。
答う。法華経第三の薬草喩品に云う「種・相・体・性」の四字なり。その四字の中に第一の「種」の一字に二つあり。一には就類種、二には相対種なり。その就類種とは、釈に云わく「およそ心有るものは、これ正因の種なり。一句を随聞するは、これ了因の種なり。頭を低れ手を挙ぐるは、これ縁
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(138)始聞仏乗義 | 建治4年(’78)2月28日 | 57歳 | 富木常忍 |