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り」と。
問う。爾前を網目とする証、いかん。
答う。妙楽云わく「皮膚毛綵は衆典に出ず」云々。
問う。成仏は法華に限るという証、いかん。
答う。経に云わく「ただ一乗の法のみ有り。二無くまた三無し」文。
問う。爾前は法華のためとの証、いかん。
答う。経に云わく「種々の道を示すといえども、仏乗のためなり」。
委細申したく候といえども、心地違例して候ほどに、省略せしめ候。恐々謹言。
十一月二十三日 日蓮 花押
富木殿御返事
帥殿の物語りしは、下総に目連樹という木の候よし申し候いし、その木の根をほりて、十両ばかり、両方の切り目には焼き金を宛てて、紙にあつくつつみて、風ひかぬようにこしらえて、大夫次郎が便宜に給び候べきよし、御伝えあるべく候。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(132)観心本尊得意抄 | 建治元年(’75)11月23日 | 54歳 | 富木常忍 |