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正直の金言なり。毒蛇の珠をはき、伊蘭の栴檀をいだすがごとし。恐々謹言。
九月二十八日 日蓮 花押
御返事
(132)
観心本尊得意抄
建治元年(ʼ75)11月23日 54歳 富木常忍
鵝目一貫文、厚綿の白小袖一つ、筆十管、墨五挺、給び畢わんぬ。
身延山は、知ろしめすがごとく、冬は嵐はげしく、ふり積む雪は消えず、極寒の処にて候あいだ、昼夜の行法もはだうすにては堪え難く辛苦にて候に、この小袖を著ては思い有るべからず候なり。
商那和修は付法蔵の第三の聖人なり。この因位を仏説いて云わく「乃往過去、病の比丘に衣を与うる故に、生々世々に不思議自在の衣を得たり」。今の御小袖は彼に似たり。この功徳は、日蓮はこれを知るべからず、しかしながら釈迦仏に任せ奉り畢わんぬ。
そもそも今の御状に云わく、教信御房、観心本尊抄の「未得」等の文字に付いて迹門をよまじと疑心の候なること、不相伝の僻見にて候か。去ぬる文永年中に、この書の相伝は整足して貴辺に奉り
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(131)御衣並単衣御書 | 建治元年(’75)9月28日 | 54歳 | 富木家 |
(132)観心本尊得意抄 | 建治元年(’75)11月23日 | 54歳 | 富木常忍 |