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叶い難きか。
日月は四天の明鏡なり。諸天定めて日蓮を知りたもうか。日月は十方世界の明鏡なり。諸仏も定めて日蓮を知りたもうか。一分もこれを疑うべからず。ただし先業いまだ尽きざるなり。日蓮流罪に当たれば、教主釈尊衣をもってこれを覆いたまわんか。去年九月十二日の夜中には虎口を脱れたるか。「必ず心の固きに仮って、神の守り即ち強し」等とは、これなり。汝等ゆめゆめ疑うことなかれ。決定して疑いあるべからざるものなり。恐々謹言。
五月五日 日蓮 花押
この書をもって諸人に触れ示して、恨みを残すことなかれ。
土木殿
空に読み覚えよ。老人等はつぶさに聞き奉れ。早々に御免を蒙らざることは、これを歎くべからず。定めて天これを抑うるか。藤河入道をもってこれを知れ。去年流罪有れば、今年横死に値うべからざるか。彼をもってこれを惟え。愚者は用いざることなり。
日蓮が御免を蒙らんと欲するのことを色に出だす弟子は不孝の者なり。あえて後生を扶くべからず。各々この旨を知れ。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(124)真言諸宗違目 | 文永9年(’72)5月5日 | 51歳 | 富木常忍 |