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土木殿
日蓮が臨終一分も疑いなし。頭を刎ねらるるの時は殊に喜悦有るべく候。大賊に値って大毒を宝珠に易うと思うべきか。
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真言諸宗違目
文永9年(ʼ72)5月5日 51歳 富木常忍
土木殿等、人々御中 日蓮
真言宗は、天竺よりはこれ無し。開元の始めに善無畏三蔵・金剛智三蔵・不空三蔵等、天台大師己証の一念三千の法門を盗んで大日経に入れ、これを立てて真言宗と号す。華厳宗は、則天皇后の御宇にこれを始む。澄観等、天台の十乗観法を盗んで華厳経に入れ、これを立てて華厳宗と号す。法相・三論は言うに足らず。禅宗は、梁の世に達磨大師、楞伽経等をもってす。大乗の空の一分なり。その学者等、大慢を成して教外別伝等と称し、一切経を蔑如す。天魔の所為なり。浄土宗は、善導等、観経等を見て一分の慈悲を起こし、摂・地二論の人師に向かって一向専の宗義を立て了わんぬ。日本の
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(123)富木殿御返事(諸天加護なき所以の事) | 文永9年(’72)4月10日 | 51歳 | 富木常忍 |
(124)真言諸宗違目 | 文永9年(’72)5月5日 | 51歳 | 富木常忍 |