『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

法然これを誤り、天台・真言等をもって雑行に入れ、末代不相応の思いをなして、国中を誑惑して長夜に迷わしむ。
　これを明らめし導師は、ただ日蓮一人なるのみ。
　涅槃経に云わく「もし善比丘あって、法を壊る者を見て、置いて、呵責し駆遣し挙処せずんば、当に知るべし、この人は仏法の中の怨なり」等云々。灌頂章安大師云わく「仏法を壊乱するは、仏法の中の怨なり。慈無くして詐り親しむは、即ちこれ彼が怨なり。彼がために悪を除くは、即ちこれ彼が親なり」等云々。
　法然が捨閉閣抛、禅家等が教外別伝、もし仏意に叶わずんば、日蓮は日本国の人のためには賢父なり、聖親なり、導師なり。これを言わずんば、一切衆生のために「慈無くして詐り親しむは、即ちこれ彼が怨なり」の重禍脱れ難し。日蓮既に日本国の王臣等のためには「彼がために悪を除くは、即ちこれ彼が親なり」に当たれり。この国既に三逆罪を犯す。天あにこれを罰せざらんや。
　涅槃経に云わく「その時、世尊は、地の少しの土を取ってこれを爪上に置いて、迦葉に告げて言わく『この土多しや、十方世界の地の土多しや』。迦葉菩薩、仏に白して言さく『世尊よ。爪上の土は十方のあらゆる土に比せざるなり』○『四重禁を犯し五逆罪を作って○一闡提と作って、諸の善根を断じ、この経を信ぜざるものは、十方界のあらゆる地の土のごとし○五逆を作らず○一闡提と作らず、善根を断ぜず、かくのごとき等の涅槃経典を信ずるものは、爪上の土のごとし』と」等云々。経文のごとくんば、当世日本国は十方の地の土のごとく、日蓮は爪上の土のごとし。