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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 悪王の正法を破るに、邪法の僧等が方人をなして智者を失わん時は、師子王のごとくなる心をもてる者、必ず仏になるべし。例せば日蓮がごとし。これおごれるにはあらず。正法を惜しむ心の強盛なるべし。
 おごれる者は、必ず、強敵に値っておそるる心出来するなり。例せば、修羅のおごり、帝釈にせめられて、無熱池の蓮の中に小身と成って隠れしがごとし。正法は、一字一句なれども、時機に叶いぬれば必ず得道なるべし。千経万論を習学すれども、時機に相違すれば叶うべからず。
 宝治の合戦すでに二十六年。今年二月十一日、十七日、また合戦あり。外道・悪人は如来の正法を破りがたし。仏弟子等、必ず仏法を破るべし。「師子身中の虫の師子を食む」等云々。大果報の人をば他の敵やぶりがたし、親しみより破るべし。薬師経に云わく「自界叛逆の難」と、これなり。仁王経に云わく「聖人去らん時は、七難必ず起こらん」云々。金光明経に云わく「三十三天、各瞋恨を生ずるは、その国王、悪を縦にし、治せざるに由る」等云々。日蓮は聖人にあらざれども、法華経を説のごとく受持すれば聖人のごとし。また世間の作法兼ねて知るによって注し置くこと、これ違うべからず。現世に云いおく言の違わざらんをもって、後生の疑いをなすべからず。
 日蓮は、この関東の御一門の棟梁なり、日月なり、亀鏡なり、眼目なり。日蓮捨て去る時、七難必ず起こるべしと、去年九月十二日、御勘気を蒙りし時、大音声を放ってよばわりしこと、これなるべし。わずかに六十日乃至百五十日に、この事起こるか。これは華報なるべし。実果の成ぜん時、いかがなげかわしからんずらん。