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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(122)

佐渡御書

 文永9年(ʼ72)3月20日 51歳 門下一同

  この文は富木殿のかた、三郎左衛門殿、大蔵とうのつじ十郎入道殿等、さじきの尼御前、一々に見させ給うべき人々の御中へなり。
  京・鎌倉に軍に死せる人々を書き付けてたび候え。外典抄、文句の二、玄の四の本末、勘文・宣旨等、これへの人々もちてわたらせ給え。

 世間に人の恐るるものは、火炎の中と、刀剣の影と、この身の死するとなるべし。牛馬なお身を惜しむ、いわんや人身をや。癩人なお命を惜しむ、いかにいわんや壮人をや。
 仏説いて云わく「七宝をもって三千大千世界に布き満つるとも、手の小指をもって仏経に供養せんにはしかず」取意。
 雪山童子の身をなげし、楽法梵志が身の皮をはぎし、身命に過ぎたる惜しきもののなければ、これを布施として仏法を習えば必ず仏となる。身命を捨つる人、他の宝を仏法に惜しむべしや。また、財宝を仏法におしまんもの、まさる身命を捨つべきや。世間の法にも、重恩をば命を捨てて報ずるなる