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神力を現じたもう」等云々。「如来の一切の所有の法」云々。
ただし、この大法弘まり給うならば、爾前・迹門の経教は一分も益なかるべし。伝教大師云わく「日出でぬれば星隠る」云々。遵式、記して云わく「末法の初め、西を照らす」等云々。法すでに顕れぬ。前相、先代に超過せり。
日蓮ほぼこれを勘うるに、これ時のしからしむる故なり。経に云わく「四導師有り。一に上行と名づく」云々。また云わく「悪世末法の時、能くこの経を持たば」。また云わく「もし須弥を接って、他方に擲げ置かんも」云々。
また、貴辺に申し付けし一切経の要文、智論の要文五帖、一処に取り集めらるべく候。その外、論釈の要文散在あるべからず候。また小僧たち、談義あるべしと仰せらるべく候。
流罪のこと、痛く歎かせ給うべからず。勧持品に云わく、不軽品に云わく。
命限り有り、惜しむべからず。ついに願うべきは仏国なり云々。
文永八年十一月二十三日 日蓮 花押
富木入道殿御返事
小僧たち、少々還し候。この国の為体、在所の有り様、御問いあるべく候。筆端に載せ難く候。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(121)富木入道殿御返事(願望仏国の事) | 文永8年(’71)11月23日 | 50歳 | 富木常忍 |