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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 正宗はこれを置く。流通に至って、宝塔品の三箇の勅宣は、霊山・虚空の大衆に被らしむ。勧持品の二万・八万・八十万億等の大菩薩の御誓言は、日蓮が浅智には及ばず。ただし、「恐怖悪世の中」の経文は、末法の始めを指すなり。この「恐怖悪世の中」の次下の安楽行品等に云わく「末世において」等云々。同本異訳の正法華経に云わく「しかして後、末世に」。また云わく「しかして後来の末世に」。添品法華経に云わく「恐怖悪世の中」等云々。時は当世に当たり、三類の敵人はこれ有り。ただし八十万億那由他の諸の菩薩は一人も見えたまわず。乾たる潮の満ちず、月の虧けて満ちざるがごとし。水清めば月を浮かべ、木を植うれば鳥棲む。日蓮は八十万億那由他の諸の菩薩の代官としてこれを申す。かの諸の菩薩の加被を請うものなり。
 この入道、佐渡国へ御供なすべきの由これを申す。しかるべき用途と云い、かたがた煩い有るの故に、これを還す。御志始めてこれを申すに及ばず。人々にかくのごとく申させ給え。ただ囹僧等のみ心に懸かり候。便宜の時、早々これを聴かすべし。あなかしこ、あなかしこ。
  十月二十二日酉時    日蓮 花押
 土木殿