1255ページ
いかにいおうや、彼の人は法華経を信じたりしかば、おやをみちびく身とぞなられて候らん。
法華経を信ずる人は、かまえてかまえて法華経のかたきをおそれさせ給え。念仏者と持斎と真言師と、一切南無妙法蓮華経と申さざらん者をば、いかに法華経をよむとも法華経のかたきとしろしめすべし。かたきをしらねば、かたきにたぼらかされ候ぞ。
あわれ、あわれ、げんざんに入ってくわしく申し候わばや。また、これよりそれへわたり候三位房・佐渡公等に、たびごとにこのふみをよませてきこしめすべし。また、この御文をば、明慧房にあずけさせ給うべし。なにとなく我が智慧はたらぬ者が、あるいはおこづき、あるいはこの文をさいかくとしてそしり候なり。あるいは「よも、この御房は弘法大師にはまさらじ。よも慈覚大師にはこえじ」なんど、人くらべをし候ぞ。かく申す人をば、ものしらぬ者とおぼすべし。
建治二年太歳丙子三月 日 日蓮 花押
甲州南部波木井郷山中
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(108)光日房御書 | 建治2年(’76)3月 | 55歳 | 光日尼 |