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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

中において、現に仏前において、常に仏を毀罵せば、その罪はなお軽し。もし人、一つの悪言をもって、在家・出家の法華経を読誦する者を毀呰せば、その罪ははなはだ重し」等云々。これらの経文を見るに、信心を起こし、身より汗を流し、両眼より涙を流すこと雨のごとし。我一人、この国に生まれて、多くの人をして一生の業を造らしむることを歎く。
 彼の不軽菩薩を打擲せし人、現身に改悔の心を起こせしだにも、なお罪消え難くして千劫阿鼻地獄に堕ちぬ。今、我に怨を結べる輩は、いまだ一分も悔ゆる心もおこさず。これ体の人の受くる業報を、大集経に説いて云わく「『もし人あって、千万億の仏の所にして仏身より血を出ださん。意において、いかん。この人の罪をうること、むしろ多しとせんや否や』。大梵王言さく『もし人、ただ一仏の身より血を出ださん、無間の罪、なお多し。無量にして算をおきても、数をしらず、阿鼻大地獄の中に堕ちん。いかにいわんや、万億の仏身より血を出ださん者を見んをや。終によく広く彼の人の罪業・果報を説くことあることなからん。ただし、如来をば除き奉る』。仏の言わく『大梵王、もし我がために髪をそり袈裟をかけ、片時も禁戒をうけず欠犯をうけん者をなやまし、のり、杖をもって打ちなんどすることあらば、罪をうること、彼よりは多し』と」。
  弘長二年壬戌正月十六日    日蓮 花押
 工藤左近尉殿