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なり。今、末法に入って、第一の能たる南無妙法蓮華経これなり云々。
一、授職の法体の事
仰せに云わく、この文は「唯仏与仏(ただ仏と仏とのみ)」の秘文なり。たやすく云うべからざる法門なり。十界三千の諸法を一言をもって授職するところの秘文なり。その文とは、神力品に云わく「皆於此経宣示顕説(皆この経において宣示顕説す)」の文これなり。この五字、即ち十界同時に授職するところの秘文なり。十界己々の当体は、本有の妙法蓮華経なりと授職したる秘文なり云々。
一、末代の譲り状の事
仰せに云わく、末代とは、末法五百年なり。譲り状とは、手継ぎの証文たる南無妙法蓮華経これなり。これを譲るに、二つの義これ有り。一には跡をゆずり、二には宝をゆずるなり。一に跡を譲るとは、釈迦如来の跡を法華経の行者にゆずりたまえり。その証文に云わく「如我等無異(我がごとく等しくして異なることなからしめん)」の文これなり。次に財宝をゆずるというは、釈尊の智慧・戒徳を法華経の行者にゆずりたまえり。その証文に云わく「無上宝聚 不求自得(無上の宝聚は、求めざるに自ずから得たり)」の文これなり云々。さて、この題目の五字は譲り状なり云々。
一、本有の止観という事
仰せに云わく、本有の止観というは、大通をもって習うなり。久遠実成道の仏と大通智勝仏と釈尊との三仏を、次のごとく仏法僧の三宝と習うなり。この故に、大通は本有の止観なれば、即ち三世の諸仏の師範と定めたり。よって、大通仏を法と習う。この法は妙法蓮華経これなり。よって、
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(096)御講聞書 |