『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

いうは、南無妙法蓮華経なり。一切諸経の意、三世の諸仏の意は、題目の五字なり。詮ずるところ、法華の行者は信心をもって「意」とせり云々。
一、「観音妙智力（観音の妙智の力）」の事
　　仰せに云わく、「妙」とは不思議なり、「智」とは随縁真如の智力なり。森羅三千の自受用智なり。「観音」は、円観なり。円観とは、一念三千なり。観音とは、法華の異名なり。「観音と法華とは、眼目の異名なり」と釈するあいだ、法華経の異名なり。「観」とは円観、「音」は仏機なり。よって、「観音」の二字は人法一体なり。いわゆる一心三観・一念三千これなり云々。
一、「自在之業（自在の業）」の事
　　仰せに云わく、この「自在之業」とは、自受用報身の智力なり。森羅三千の諸法の作業をさして云うなり。その所作のまま、法華経の意は不思議の「自在之業」なりと説けり。この「自在之業」の本は南無妙法蓮華経これなり云々。
一、「妙法蓮華経陀羅尼」の事
　　仰せに云わく、「妙法蓮華経陀羅尼」とは、「正直捨方便　但説無上道（正直に方便を捨てて、ただ無上道を説くのみ）」なり。五字は体なり、陀羅尼は用なり。妙法の五字は、我らが色心なり。陀羅尼は、色心の作用なり。
　　詮ずるところ、陀羅尼とは呪なり。妙法蓮華経をもって煩悩即菩提・生死即涅槃と呪いたるなり。日蓮等の類い、南無妙法蓮華経を受持するをもって、呪とは云うなり。「若有能持　即持仏身