『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

ば、機・法共に釈迦如来の所説のごとく真実なりと証明したまえり。始めの「如是」は教一開会なり、次の「如是」は人一開会なり。権教の意は、諸法を妄法ときらいし隔別・不融の教えなり。根性においては性欲不同なれば、種々に説法したまえり。よって、人も成仏せず。今経の心は、諸法実相の御経なれば、十界平等に授くるところの妙法なり。根性は不同なれども、同じく如是性の一性なり。詮ずるところ、今、末法に入っての「法相の是に如す」は、塔中相承の本尊なり。「根性の是に如するなり」というは、十界宛然の尊像なり。「法相」は南無妙法蓮華経なり。「根性」は日本国の一切衆生、広くは一閻浮提の衆生なり云々。
一、「是真仏子　住淳善地（これ真の仏子、淳善の地に住す）」の事
　　仰せに云わく、末法当今において、釈迦如来の真実の御子というは、法華経の行者なり。その故は、上の文に「能於来世　読持此経（能く来世において、この経を読み持たん）」と説けり。「来世」とは、末法なり。「読」というは、法華経の如説修行の行者なり。弘法・慈覚・智証等、善導・法然等読んで云わく「第三の劣」「戯論の法」「捨閉閣抛」「理同事勝」等と読むは、謗法にして三仏の御舌を切るにあらずや。いかにいわんや持たんをや。伝教大師云わく「法華経を讃むといえども、還って法華の心を死す」とは、これなり。
　　今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉る人は、「読持此経」の人なり。あに「是真仏子」にあらずや。「淳善地」は寂光土にあらずや。「是真仏子」の「子」の字は十界の衆生なり。詮ずるところ、この「子」の字は法華経の行者に限る。「悉是吾子（ことごとくこれ吾が子なり）」の「子」は、