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相似即なり。対告衆の「常精進菩薩」は十信の第三信と云えり。しかりといえども、末法においては法華経の行者を指して「常精進菩薩」と心得べきなり。この経の持者は、「是則精進(これは則ち精進なり)」の故なり。
常不軽品三十箇の大事
第一 「常不軽」の事
御義口伝に云わく、「常」の字は、三世の不軽のことなり。「不軽」とは、一切衆生の内証に具するところの三因仏性を指すなり。仏性とは、法性なり。法性とは、妙法蓮華経なり云々。
第二 「得大勢菩薩」の事
御義口伝に云わく、「得」とは応身なり、「大」とは法身なり、「勢」とは報身なり。また「得」とは仮諦なり、「大」とは中道なり、「勢」とは空諦なり。円融の三諦・三身なり。
第三 「威音王」の事
御義口伝に云わく、「威」とは色法なり、「音」とは心法なり、「王」とは色心不二を「王」と云うなり。末法に入って南無妙法蓮華経と唱え奉る、これしかしながら「威音王」なり云々。その故は、「音」とは一切権教の題目等なり。「威」とは首題の五字なり。「王」とは法華の行者なり云々。法華の題目は獅子の吼うるがごとく、余経は余獣の音のごとくなり。「諸経中王(諸経の中の王なり)」の故に「王」と云うなり。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、「威音王仏」なり云々。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(095)御義口伝 |