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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

法華の良薬にあらず。故に悶乱するなり。「悶」とは、いきたゆるなり。寿量品の命なきが故に、悶乱するなり。「宛転于地」とは、阿鼻地獄へ入るなり云々。
  「諸子飲毒(諸の子は毒を飲む)」のことは、釈に云わく「邪師の法を信受するを、名づけて『飲毒』となす」。「諸子」とは、謗法なり。「飲毒」とは、弥陀・大日等の権法なり。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、毒を飲まざるなり。
第七 「或失本心、或不失者(あるいは本心を失えるもの、あるいは失わざる者あり)」の事
  御義口伝に云わく、「失本心」とは、謗法なり。「本心」とは、下種なり。「不失」とは、法華経の行者なり。「失」とは、本有る物を失うことなり。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、本心を失わざるなり云々。
第八 「擣簁和合、与子令服(擣き簁い和合して、子に与えて服ましむ)」の事
  御義口伝に云わく、この経文は空・仮・中の三諦、戒・定・慧の三学なり。色・香・美味の良薬なり。「擣」は空諦なり、「簁」は仮諦なり、「和合」は中道なり。「与」は授与なり、「子」は法華の行者なり。「服」というは受持の義なり。これを「此大良薬、色・香・美味、皆悉具足(この大良薬は、色・香・美味、みな具足せり)」と説かれたり。「皆悉」の二字は、万行万善・諸波羅蜜を具足したる大良薬たる南無妙法蓮華経なり。「色・香」等とは、「一色一香も中道にあらざることなし」にして草木成仏なり。されば、題目の五字に一法として具足せずということなし。もし服する者は、「速除苦悩(速やかに苦悩を除く)」なり。されば、妙法の大良薬を服する者は、貪・瞋・癡の三毒の煩悩の病患