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法華経は真実と修行する、これは「戒」なり。「非を防ぎ悪を止む」の義なり。持つところの行者、「決定無有疑(決定して疑いあることなけん)」の仏体と定むる、これは「定」なり。三世の諸仏の智慧を一返の題目に受持する、これは「慧」なり。この三学は皮肉骨・三身・三諦・三軌・三智等なり。
提婆達多品八箇の大事
第一 「提婆達多」の事
文句の八に云わく「本地は清涼にして、迹に天熱を示す」。
御義口伝に云わく、「提婆」とは、本地は文殊なり。「本地は清涼なり」と云えばなり。迹には提婆と云う。「迹に天熱を示す」これなり。「清涼」は水なり、これは生死即涅槃なり。「天熱」は火なり、これは煩悩即菩提なり。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、煩悩即菩提・生死即涅槃なり。
「提婆」は妙法蓮華経の別名なり。過去の時に「阿私仙人」なり。「阿私仙人」とは、妙法の異名なり。「阿」とは無の義なり。「私無きの法」とは、妙法なり。文句の八に云わく「私無きの法をもって衆生に灑ぐ」と云えり。「阿私仙人」とは、法界三千の別名なり。故に私無きなり。一念三千これを思うべし云々。
第二 「若不違我、当為宣説(もし我に違わずんば、当にために宣説すべし)」の事
御義口伝に云わく、妙法蓮華経を宣説すること、汝は我に違わずして宣説すべしということな
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(095)御義口伝 |