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致する義なり。詮ずるところ、「述」は所化の領解、「成」は仏の印可なり。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と領するは「述」なり、日蓮が讃嘆するは「成」なり。我らが即身成仏を説き極めたる品なり。述・成の一致符契するは、述成不二の即身成仏なり。この述成は、法界三千の皆成仏道の述成なり。
第三 「雖一地所生、一雨所潤(一地の所生、一雨の所潤なりといえども)」等の事
御義口伝に云わく、随縁・不変の起こるところの文なり。妙楽大師云わく「随縁・不変の説は大教より出で、木石無心の言は小宗より生ず」。この「大教」とは、一経の総体にあらず、この「雖一地所生」等の十七字を指すなり。
「一地所生、一雨所潤」は無差別譬、「而諸草木各有差別(しかも諸の草木に各差別有り)」は有差別譬なり。無差別譬の故に妙なり。有差別譬の故に法なり云々。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、有差を置くなり。二十八品は有差別なり。妙法の五字は無差別なり。
「一地」とは、迹門の大地なり。「一雨」とは、本門の義天なり。「一地」とは従因至果、「一雨」とは従果向因。末法に至って従果向因の「一雨」を弘通するなり。「一雨」とは、題目に余行を交えざるなり。序品の時は「雨大法雨(大法の雨を雨らす)」と説き、この品の時は「一雨所潤」と説けり。「一雨所潤」は、序品の「雨大法雨」を重ねて仏説きたもうなり。「一地」とは、五字の中の「経」の一字なり。「一雨」とは、五字の中の「妙」の一字なり。「法蓮華」の三字は、三千・万法、中にも草木なり。三乗・五乗・七方便・九法界なり云々。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(095)御義口伝 |