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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

法蓮華経を日本国の一切衆生等に与え授くるは、あに釈尊の十恩にあらずや。
  「十恩は即ち衣・座・室の三軌なり」とは、第一・第二・第三は「大慈為室(大慈を室となす)」の御恩なり。第四・第五・第六・第七は「柔和忍辱衣(柔和忍辱の衣)」の恩なり。第八・第九・第十は「諸法空為座(諸法空を座となす)」の恩なり。第六の小を恥じ大を慕わしむる恩を、記の六に云わく「故に、頓の後において、便ち小化を垂れ、弾斥淘汰し、槌砧鍛錬す」。

    薬草喩品五箇の大事
第一 「薬草喩品」の事
  記の七に云わく「無始の性徳は地のごとく、大乗の心を発すは種のごとし。二乗の心を発すは草木の芽茎のごとし。今、初住に入るは、仏乗の芽茎等を成ずるがごとし」。
  御義口伝に云わく、法華の心を信ずるは種なり。諸法実相の内証に入れば仏果を成ずるなり。「薬」とは、九界の衆生の心法なり。その故は、権教の心は毒草なり。法華に値いぬれば、三毒の煩悩の心地を三身果満の種なりと開覚するを、「薬」とは云うなり。今、日蓮等の類い、妙法の「薬」を煩悩の「草」に受くるなり。煩悩即菩提・生死即涅槃と覚らしむるを、「喩」とは云うなり。釈に云わく「『喩』とは、暁訓なり」。「薬草喩」とは、我ら行者のことなり。
第二 この品は述成段なる事
  御義口伝に云わく、「述」とは迦葉なり、「成」とは釈尊なり。「述成」の二字は、迦葉・釈尊一