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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

昔勤ろに教詔せず、訓うることなくして、逃逝せしむることを致すことを悔い、子の恩義を惟わずして我を疎んじ他に親しむことを恨む」。
第五 「無上宝聚 不求自得(無上の宝聚は、求めざるに自ずから得たり)」の事
  御義口伝に云わく、「無上」に重々の子細あり。外道の法に対すれば、三蔵教は無上、外道の法は有上なり。また三蔵教は有上、通教は無上。通教は有上、別教は無上。別教は有上、円教は無上。また爾前の円は有上、法華の円は無上。また迹門の円は有上、本門の円は無上。また迹門十三品は有上、方便品は無上。また本門十三品は有上、一品二半は無上。また天台大師の所弘は、止観は無上、玄・文二部は有上なり。今、日蓮等の類いの心は、無上とは南無妙法蓮華経、無上の中の極無上なり。
  この妙法を指して「無上宝聚」と説きたもうなり。「宝聚」とは、三世の諸仏の万行万善・諸波羅蜜の宝を聚めたる南無妙法蓮華経なり。この無上宝聚を、辛労も無く行功も無く、一言に受け取る信心なり。「不求自得」とは、これなり。「自」の字は十界なり。十界各々得るなり。諸法実相これなり。しかるあいだ、この文、妙覚の釈尊は我ら衆生の骨肉なり。能く能くこれを案ずべし云々。
第六 「世尊大恩(世尊は大恩まします)」の事
  御義口伝に云わく、「世尊」とは釈尊、「大恩」とは南無妙法蓮華経なり。釈尊の大恩を報ぜんと思わば、法華経を受持すべきものなり。これ即ち釈尊の御恩を報じ奉るなり。大恩を題目ということは、次下に「以希有事(希有の事をもって)」と説く。「希有事」とは、題目なり。この大恩の妙法