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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(387)

盂蘭盆御書

 弘安元年(ʼ78)または同2年(ʼ79)の7月13日 57歳または58歳 治部房の祖母

 御返事 じぶどののうばごぜんのかえり事    日蓮

 盂蘭盆と申し候ことは、仏の御弟子の中に、目連尊者と申して、舎利弗にならびて智慧第一・神通第一と申して、須弥山に日月のならび、大王に左右の臣のごとくにおわせし人なり。この人の父をば吉占師子と申し、母をば青提女と申す。その母の慳貪の科によって餓鬼道に堕ちて候いしを、目連尊者のすくい給うより事おこりて候。
 その因縁は、母は餓鬼道に堕ちてなげき候いけれども、目連は凡夫なれば知ることなし。幼少にして外道の家に入り、四い陀・十八大経と申す外道の一切経をならいつくせども、いまだその母の生処をしらず。その後、十三のとし、舎利弗とともに釈迦仏にまいりて御弟子となり、見惑をだんじて初果の聖人となり、修惑を断じて阿羅漢となりて、三明をそなえ六通をえ給えり。天眼をひらいて三千大千世界を明鏡のかげのごとく御らんありしかば、大地をみとおし三悪道を見ること、氷の下に候魚を朝日にむかいて我らがとおしみるがごとし。その中に餓鬼道と申すところに我が母あり。のむこ