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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

畢わんぬ」云々〈取意〉。
 この条、跡形も無き虚誕なり。日秀等は行智に損亡せられ不安堵の上は、誰人か日秀等の点札を叙用せしむべき。はたまた、尩弱なる土民の族、日秀等に雇い越されんや。しかのごとく弓箭を帯し悪行を企つるにおいては、行智といい、近隣の人々といい、いかでか、弓箭を奪い取り、その身を召し取り、子細を申さざるや。矯飾の至り、よろしく賢察に足るべし。
 日秀・日弁等は当寺代々の住侶として行法の薫修を積み、天長地久の御祈禱を致すのところに、行智は当寺霊地の院主代に補せられながら、寺家の三河房頼円ならびに少輔房日禅・日秀・日弁等に仰せて、「行智、法華経においてはこれを信用せざるなり、速やかに法華経の読誦を停止し、一向に阿弥陀経を読み、念仏を申すべきの由、起請文を書けば、安堵すべし」との旨、下知せしむるのあいだ、頼円は下知に随って起請を書いて安堵せしむといえども、日禅等は起請を書かざるによって所職の住坊を奪い取るの時、日禅は即ち離散せしめ畢わんぬ。日秀・日弁は無頼の身たるによって、所縁を相憑み、なお寺中に寄宿せしむるのあいだ、この四箇年のほど、日秀等の所職の住坊を奪い取り、厳重の御祈禱を打ち止むるの余り、悪行なおもって飽き足らず、法華経の行者の跡を削らんがために謀案を構えて種々の不実を申し付くるの条、あに在世の調達にあらずや。
 およそ行智の所行は、法華三昧の供僧・和泉房蓮海をもって法華経を柿紙に作り紺形を彫り、堂舎の修治をなす。日弁、御書き下しを給わり構え置くところの上葺榑、一万二千寸の内八千寸、これを私用せしむ。下方の政所代に勧め、去ぬる四月、御神事の最中に法華経信心の行人・四郎男を刃傷せ