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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

書に云わく「隣国に聖人有るは敵国の憂いなり」云々。内経に云わく「国に聖人有れば、天必ず守護す」云々。外書に云わく「世に必ず聖智の君有り。しかしてまた賢明の臣有り」云々。この本文を見るに、聖人の国に在るは、日本国の大喜にして、蒙古国の大憂なり。諸竜を駆り催して敵舟を海に沈め、梵釈に仰せ付けて蒙王を召し取らん。君既に賢人に在さば、あに、聖人を用いずして、いたずらに他国の逼めを憂えん。
 そもそも、大覚世尊、遥かに末法・闘諍堅固の時を鑑み、かくのごとき大難を対治すべきの秘術を説き置きたもうところの経文明々たり。しかりといえども、如来の滅後二千二百二十余年の間、身毒・尸那・扶桑等、一閻浮提の内にいまだ流布せず。したがって、四依の大士、内に鑑みて説かず。天台・伝教、しかも演べず。時いまだ至らざるの故なり。
 法華経に云わく「後の五百歳の中、閻浮提に広宣流布せん」云々。天台大師云わく「後の五百歳」、妙楽云わく「五の五百歳」、伝教大師云わく「代を語れば則ち像の終わり末の初め、地を尋ぬれば唐の東・羯の西、人を原ぬれば則ち五濁の生・闘諍の時なり」云々。東勝西負の明文なり。
 法主聖人、時を知り、国を知り、法を知り、機を知り、君のため、民のため、神のため、仏のため、災難を対治せらるべきの由勘え申すといえども、御信用無きの上、あまつさえ、謗法の人等の讒言によって、聖人、頭に疵を負い左手を打ち折らるるの上、両度遠流の責めを蒙り、門弟等所々に射殺され、切り殺され、殺害・刃傷・禁獄・流罪・打擲・擯出・罵詈等の大難、勝げて計うべからず。これに因って、大日本国、皆法華経の大怨敵と成り、万民ことごとく一闡提人となるの故に、天神は国を捨