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賢人にあらずとは云わず。また妄語せし者とも云わず。
仏もまたまたかくのごとし。爾前四十余年が間は、菩薩の得道、凡夫の得道、善人・男子等の得道は許すようなれども、二乗・悪人・女人なんどの得道はこれを許されず。あるいはまた許さるるににたることもあり。いまだ定めがたかりしを、仏の説教四十二年すでにすぎて御年七十二、摩竭提国王舎城の耆舎崛山と申す山にして法華経をとかせ給うとおぼせし時、まず無量義経と申せし経を説かせ給う。無量義経の文に云わく「四十余年」云々。
(033)
法華経題目抄(妙の三義の事)
文永3年(ʼ66)1月6日 45歳
根本大師門人日蓮撰す。
南無妙法蓮華経
問うて云わく、法華経の意をもしらず、ただ南無妙法蓮華経とばかり、五字七字に限って一日に一遍、一月乃至一年・十年・一期生の間にただ一遍なんど唱えても、軽重の悪に引かれずして四悪趣におもむかず、ついに不退の位にいたるべしや。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(032)薬王品得意抄 | 文永2年(’65) | 44歳 | |
(033)法華経題目抄(妙の三義の事) | 文永3年(’66)1月6日 | 45歳 |