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第四の譬えは日の譬えなり。星の中に月の出でたるは、星の光には月の光は勝るとも、いまだ星の光を消さず。日中には星の光消ゆるのみにあらず、また月の光も奪って光を失う。爾前は星のごとく、法華経の迹門は月のごとし、寿量品は日のごとし。寿量品の時は迹門の月いまだ及ばず。いかにいわんや爾前の星をや。夜は星の時・月の時も衆務を作さず。夜暁けて必ず衆務を作す。爾前・迹門はなお生死を離れ難し。本門寿量品に至って必ず生死を離るべし。余の六譬これを略す。
この外にまた多くの譬えこの品に有り。その中に、「渡りに船を得たるがごとし」と。この譬えの意は、生死の大海には、爾前の経は、あるいは筏、あるいは小船なり。生死の此岸より生死の彼の岸には付くといえども、生死の大海を渡り、極楽の彼岸にはとずきがたし。例せば、世間の小船等が筑紫より坂東に至り、鎌倉よりいの島なんどへとずけども、唐土へ至らず。唐船は必ず日本国より震旦国に至るに障り無きなり。また云わく「貧しきに宝を得たるがごとし」等云々。爾前の国は貧国なり。爾前の人は餓鬼なり。法華経は宝の山なり。人は富める人なり。
問うて云わく、爾前は貧国という証文いかん。
答えて云わく、授記品に云わく「飢えたる国より来って、たちまちに大王の膳に値うがごとし」等云々。
女人の往生・成仏の段。
経文に云わく「もし如来滅して後、後の五百歳の中に、もし女人有って、この経典を聞いて、説の
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(032)薬王品得意抄 | 文永2年(’65) | 44歳 |