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云わく「人、仏教を壊らば、また孝子無く、六親不和にして天神も祐けず、疾疫・悪鬼、日に来って侵害し、災怪首尾し、連禍あらん」。涅槃経に云わく「もしこの経典を信ぜざること有らば○もしは臨終の時、荒乱し、刀兵競い起こり、帝王の暴虐、怨家の讐隙の侵逼するところとならん」已上。
順次生業は、法華経に云わく「もし人信ぜずして、この経を毀謗せば○その人は命終して、阿鼻獄に入らん」。仁王経に云わく「人、仏教を壊らば○死して地獄・餓鬼・畜生に入らん」已上。
順後業等はこれを略す。
問うて曰わく、いかにして速やかにこの災難を留むべきや。
答えて曰わく、還って謗法の者を治すべし。もししからずんば、無尽の祈請有りといえども、災難を留むべからざるなり。
問うて曰わく、いかんが対治すべき。
答えて曰わく、治方また経にこれ有り。涅槃経に云わく「仏言わく『ただ一人のみを除いて余の一切に施せ○正法を誹謗し、この重業を造る○ただかくのごとき一闡提の輩のみを除いてその余に施さば、一切讃歎せん』と」已上。この文のごとくんば、施を留めて対治すべしと見えたり。この外にもまた治方これ多し。つぶさに出だすに暇あらず。
問うて曰わく、謗法の者において供養を留め、苦治を加うるは罪有りや不や。
答えて曰わく、涅槃経に云わく「今、無上の正法をもって諸王・大臣・宰相・比丘・比丘尼に付嘱す○正法を毀る者をば、王者・大臣・四部の衆は応当に苦治すべし○なお罪有ることなし」已上。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(025)災難対治抄 | 正元2年(’60)2月 | 39歳 |