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仏の童名をば日種太子と申し、予が童名をば善日、仮名は是生、実名は即ち日蓮なり。
久遠下種の南無妙法蓮華経の守護神は、我が国に天下り始めし国は出雲なり。出雲に日の御碕という所あり。天照太神始めて天下り給う故に日の御崎と申すなり。
我が釈尊、法華経を説き顕し給いしより已来、十羅刹女と号す。十羅刹と天照太神と、釈尊と日蓮とは、一体の異名、本地・垂迹の利益広大なり。日神と月神とを合して文字を訓ずれば十なり。十羅刹と申すは、諸神を一体に束ね合わせたる深義なり。日蓮の日は即ち日神、昼なり。蓮は即ち月神、夜なり。月は水を縁とす。蓮は水より生ずる故なり。また是生とは、日の下の人を生むと書けり。
日蓮は天上天下の一切衆生の主君なり父母なり師匠なり。今、久遠下種の寿量品に云わく「今此三界 皆是我有〈主君の義なり〉。其中衆生 悉是吾子〈父母の義なり〉。而今此処 多諸患難〈国土・草木〉。唯我一人 能為救護〈師匠の義なり〉」と云えり。三世常恒に日蓮は今此三界の主なり。日蓮は「大恩 以希有事 憐愍教化 利益我等 無量億劫 誰能報者」なるべし。
もし日蓮が現在の弟子ならびに未来の弟子等の中に日文字を名乗りの上の字に置かずんば、自然の法罰を蒙ると知るべし。予が一期の功徳は日文字に留め置くと御説法ありしまま、日興謹んでこれを記し奉る。
聖人言わく「この相承は日蓮嫡々一人の口決、唯授一人の秘伝なり。神妙、神妙」とのたまいて留め畢わんぬ。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(459)産湯相承事 |