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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

互具の勝劣とは、これなり。
下種の境智俱実の本迹
   脱の境智は迹、種の境智は本なり。名字即の境智は境智ともに本、観行即の境智は境智ともに迹なり云々。

    意は十界の仏性ただ一口に呼び顕すなり。本因口唱の勝るる南無妙法蓮華経なり。初心成仏抄のごときなり。弘の一に云わく「理は造作にあらざるが故に『天真』と曰い、証智は円明なるが故に『独朗』と云う」云々。〈久遠の理と今日の理と、理に造作無し。しかれども、久遠は事の上の理なり、今日は理の上の理なり。故に知んぬ、本因妙の理は勝れ、今日の本果妙の理は劣るなり。これ理の本迹なり。この故に独朗と云うなり。また云わく「独一法界の故に、絶待と名づく」云々〉。
    天台は「ただ大綱のみを存して網目を事とせず」と。〈この釈の意は、大綱は本、網目は迹なり。天台・伝教の修行は網目、日蓮・日興等の修行は大綱なり云々〉。
    「如来の秘密・神通の力」意得べし。〈これ事・理の如来の本迹なり。秘密の如来は理性の如来なり、我らなり。神通の如来は世尊なり。秘密は本地、神通は垂迹なり。「世々より已来、常に我が化を受く」「我は本菩薩の道を行じて、成ぜしところの寿命は、今なおいまだ尽きず、また上の数に倍せり」云々〉。
    本迹の勝劣、その理は甚遠なり。仏もし説かずんば、弥勒なお暗し。いかにいわんや下地をや。いかにいわんや凡夫をや。本仏・本化いまし能く究尽したまえり云々。
    妙楽云わく「つぶさに本種を騰ぐ」。〈本は勝、迹は劣なり〉。「故にただ名のみにおいて、もって本迹を分かつ」。〈下種の名字の妙法の事行の勝劣なるところを判ずるなり〉。
    「本迹は身に約し位に約す」。〈久遠名字即の身と位との判なり〉。「本より迹を垂れ、迹は本に依る」「迹は究竟にあらず」。玄の一に「開示悟入はこれ迹の要なりといえども、もし顕本し已わらば、即ち本の要と成るなり」。籤の一に「もし迹中の事理乃至権実無くんば、何ぞ能く長寿の本を顕さん」云々。
 已上、種の本迹勝劣畢わんぬ。