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食物三徳御書
たからとす。魚は水をおやとし、鳥は木を家とす。人は食をたからとす。かるがゆえに、太宗云わく「王は民をおやとし、民は食を天とす」とかかれたり。
食には三つの徳あり。一には命をつぎ、二にはいろをまし、三には力をそう。人に物をほどこせば、我が身のたすけとなる。
譬えば、人のために火をともせば、我がまえあきらかなるがごとし。
悪をつくるものをやしなえば、命をますゆえに気ながし、色をますゆえに眼にひかりあり、力をますゆえにあしはやくてきく。かるがゆえに、食をあたえたる人、かえりていろもなく、気もゆわく、力もなきほうをうるなり。
一切経と申すは紙の上に文字をのせたり。譬えば、虚空に星月のつらなり、大地に草木のさせるがごとし。この文字は、釈迦如来の気にも候なり。気と申すは生気なり。この生気に二つあり。一には九界。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(436)食物三徳御書 |